今回は面接の「準備」「ノウハウ」「ポイント」の3回目です。
今回は実際の面接でポイントになるところを書いていきたいと思います。私は転職回数も10回以上と多いですが、採用側として候補者の面接もした経験があります。それらの経験も踏まえて実際の面接で役に立つヒントを書いていきます。
転職面接での自己紹介は簡潔に
面接で避けて通れないのは自己紹介です。自己紹介の時点では自分の業務の詳細部分までは話をせず簡潔に説明をしましょう。時間としては3分から長くても5分までにしましょう。頭の良い人でダラダラと長く説明をする人はいません。面接官も通常業務の合間に面接をしています。面接という限られた時間の中で無駄な説明をすると、相手に良い印象を与えることはできません。自分のやった事を全てアピールしたい気持ちは分かりますが、自己紹介の時点では、まだ実務レベルの詳細を説明しなくても大丈夫です。
では、ダメな例と良い例を挙げてみます。
例えばグローバルのプロジェクトに参加した経験を説明したい場合、
ダメな例:「グローバルのプロジェクトでは、デイリーの作業というのはなかったのですが、各フェーズで日本のチームが必要としていた機能をヒアリングする必要がありました。私の役割としては海外本社が各フェーズにおいて必要な事を連絡してきた際の窓口業務です。連絡手段としてはメールが主でした。メールにはエクセルが添付してあり、そのエクセルには各チームごとに必要なベーシックな機能が記載されておりました。まず私のやったことは・・・」
良い例:「グローバルのプロジェクトに携わっていました。そのプロジェクトの目的としてはグローバルでシステムを統一化する事でした。私は日本の窓口として各チームに必要機能をヒアリングして、海外本社と連携を取る役割を担っておりました」
ダメな例では日々の業務レベルの細かいことを延々と述べています。これは悪い事ではないのですが、説明するタイミングが違います。最初の自己紹介で説明する事ではありません。面接官が「あなたが携わったというグローバルのプロジェクトについて、もう少し詳しく説明して頂けますか?」と言われたら説明すればよいのです。
良い例では自分のやった事を簡潔に説明しています。もし面接官がさらに詳細を知りたかったら、あたなたの自己紹介が終わった後に、必ず詳細について質問をしてきます。詳細についてはその時に説明すればよいのです。一つの業務の説明に時間をかけていたら自己紹介だけで10分を超えてしまいます。
ちなみに私は自己紹介をする際には、リーマンブラザーズより前の経歴については端折ります。それより前の経験については事前に提出している履歴書を見れば分かる事ですし、私の履歴書に興味を持ってくれる企業は、恐らく私の金融業界での経験に興味を持ってくれていると思っているからです。金融業界での経験についても全ての会社で携わった業務を時系列で話すのではなく、全ての会社で携わっていた共通の業務について説明し、個別のプロジェクトについてはその後に追加で説明をします。転職回数が5回以上とか10回以上ある人が全ての会社で携わった業務を時系列で説明していたら、それだけで15分はかかってしまいます。
質問をされたことに対しては丁寧に回答する
通常は自己紹介の後には面接官から質問がきます。この場合は面接官が特定の内容について深堀をしたいと思っているので、自己紹介の時よりも詳しく説明をします。気を付けて頂きたいのは詳しくは説明をするということとダラダラと説明をすることは違います。聞かれた事柄に関係ある内容を一つ一つ丁寧に回答しますが、一つ一つの説明は簡潔にします。
ここではやってきた事を話すだけではなく、自分のやった事によって会社の業務フローが改善されたのなら、具体的にどのように改善がされたのかも話すようにしましょう。また、面接の前には募集要項を再度読み直し、どのような経験やスキルが求められているのかを把握し、自分のやってきたことが募集要項で求められていることにどのようマッチするかも考えて回答をするようにしましょう。
面接で一番重要なコツは会話のキャッチボール
通常の面接であれば、最後に面接官から「なにかご質問はありますか?」と聞かれると思います。
ここは非常に重要なポイントになります。私はここが面接で一番重要なポイントと思っています。それまでは面接官から「自己紹介をして下さい」「〇〇の業務について詳しく教えて下さい」等のように質問をされており、面接官側に会話のイニシアチブがありました。ここでは初めて会話のイニシアチブを自分自身が握ることができます。
それなのに、時々「いえ特にありません」と答える人がいますが、これは非常にもったいないです。自分でアピールの機会をみすみす逃してしまっています。
質問の内容も当然重要になってくるのですが、それ以上に会話のキャッチボールを意識することが一番重要だと思っています。
よくあるパターンとしては、自分のした質問に対して面接官が回答をすると、すぐに次の質問に移る人がいますが、これは良くありません。例えば・・・
自分「今回募集をされているチーム以外に、部署には全部で何チームあるのでしょうか」
面接官「今回募集をかけているチーム以外には、〇〇チーム、〇×チーム、〇△チームの3チームがあります」
自分「ありがとうございます。もう一つ質問がございまして、今回の募集の背景をお伺いできますでしょうか」
これは極端な例ではありますが、会話が一問一答形式になっているのです。自分の最初の質問に対しての回答を得られたら、すぐに全く別の質問に移行してしまっています。
次の例はいかがでしょう・・・
自分「今回募集をされているチーム以外に、部署には全部で何チームあるのでしょうか」
面接官「今回募集をかけているチーム以外には、〇〇チーム、〇×チーム、〇△チームの3チームがあります」
自分「ありがとうございます。私の現職での経験では〇〇チームと日々の業務でのかかわりも多いのかなと想像しているのですが、他のチームとは具体的にどの様な連携が求められておりますでしょうか?」
この例では相手の回答から次の質問へのネタをキャッチしています。そうすると自然に会話のキャッチボールが生まれます。このキャッチーボールを繰り返していくのです。そうすることにより相手に自分のコミュニケーション能力をアピールできますし、またこのキャッチボールの中でも自分の経験した事をさりげなく放り込むこともできます。
一緒に働きたいと思わせる事が大切です
面接官も人間ですので、最後は一緒に働きたいと思わせる事が大切です。いくらスキルがあってもコミュニケーション能力の低い人とは働きたいと思わないでしょう。反対に、いくらコミュニケーション能力が高くても基本的なスキルが無ければ相手は内定を出してはくれません。もし自分自身に基本的なスキルがあったとしても、それを面接で伝える事ができなければ、相手はあなたにそのスキルが備わっているという事実を知ることができません。上述した事を意識することにより、自分自身のコミュニケーション能力もアピールできますし、自分自身のスキルもアピールできます。
しかしながら、これらの事を全て意識して、さらにはきちんと実行して面接に挑んでも不合格になることは多々あります。
やれる事を全てやって、それでも内定をもらう事ができなかったら、それは仕方のない事なのです。単に企業の求めているものと、あたなたの経験 / スキル / キャラクターがマッチしなかっただけです。
私はこれらの事が全部できるようになってからも面接で不合格をもらうことは多々ありました。でもそれは単に企業が求めている事と、私が持っているものがマッチしなかっただけですので、潔く諦めがつくようになりました。